ペット飼育と不動産価格を考えてみる

以前と比べ、ペット飼育可能な分譲マンショが増えています。
頭数制限やサイズ制限はありますが、多くのマンションでは小型犬やネコなどの一般的な小動物の飼育が認められるようになり、多くの家庭で飼育がされるようになりました。
ただ、かわいい反面、管理を怠ってしまった場合は不動産価格に大きな影響を与えてしまう可能性もゼロではないので、今回はペット飼育と不動産価格の関係性について確認をしていくことにします。
※今回ペット飼育について確認をしていきますが、ペット飼育の是非を問うものではありません。


■ペット飼育と不動産売却に関するウソ
最初に私個人の結論からお伝えすることにします。
個人的な考えでは、『ペット飼育しているマンションの成約価格は相場よりも低くなる確率が非常に高い』と考えています、
 
インターネットなどでは様々な意見が展開されていますが、誤った情報も数多くあったので、まずは巷にあふれている怪しい記事について内容を確認していくこととします。
 
怪しい記事1.ニオイ対策はクロスを張り替える
ペットのニオイはクロスだけに染み付くわけではありません。
扉やフローリングなど、ありとあらゆる物に染み付いてしまうので、例え防臭クロスに張り替えたとしてもこれだけでは不十分です。
付け加え、住んだままマンション売却を行う場合なんかは単純に「住んでいるんだからリフォームしても意味ないのでは?」という素朴な疑問も・・
 
怪しい記事2.ひっかきキズは自分で修繕する
「フローリングや柱のキズは簡易的な修繕を行って売却活動を開始しましょう」
これは確実にバレます。
リフォーム経験のない人でも精巧な修繕が可能であれば、リフォーム業者の存在意義がなくなってしまいます。
逆に事前に伝えておかないと契約後に「こんな傷があるなんて聞いていない」というようなトラブルになる可能性もゼロではありません。(告知義務違反の可能性)
トラブルを未然に防ぐという観点からも、キズを隠す・自分で簡易的な修繕を行うなどの対応はしない方が賢明と言えるでしょう。
 
怪しい記事3.ペット飼育を希望している方、ペット愛好家の方は売却しやすい
「ペットいるんですからニオイやキズはしょうがないですよね」
数多く購入希望者と出会ってきましたが、私はこのような寛容な方に出会ったことがありません。
基本的に内見者は家族で住まう家を買いにきているわけですから、家に金額相応の価値があるか否かを判断しています。
当然、近隣のペット可物件との比較検討も行うわけですから、ペット愛好家であれペット飼育を希望している人であれ金銭面での損得勘定に大きな変わりはありません。
ペット愛好家の方たちを軽視するような考え方をしない様に注意して下さい。
 
このような情報を鵜呑みにしてしまっては正しい不動産価値が分からなくなってしまうので、誤った情報を意のみにしないよう気を付けて下さい。
 
■ペットのニオイ問題が不動産価格の考え方を難しくする
では次に、ペット飼育と不動産価格について具体的に確認していきます。 ペットと不動産価格の関係を考える上で難しい問題となるのが『ニオイ』です。
キズに関しては皆様ご存知の通りなので、改めて確認する必要はないと思いますので、今回はニオイにフォーカスして確認していくことにします。 

ニオイの問題点は2つ
1.目視で程度を確認する事ができない
キズは目視で程度を確認できるのですが、ニオイは目で確認することができません。
客観的な程度を売主・買主、双方で共有することができないため、金額的なマイナスについて差異が生じやすくなります。

 2.ニオイを除去するにはリフォームが必要になる
ペットのニオイはコンデションの良悪に関係ありません。
一番悩ましい状況は『・コンデションは大変良好、でもペット臭がハッキリと残ってしまっている』という状況です この状況は売主、買主、それぞれ不動産に対する評価が大きく異なります。
売主:丁寧に利用しているから付帯設備は十分利用できリフォームの必要はない
買主:コンデションは良好だけど、ここまでニオイが残っているのであればリフォームが必要 


不具合や操作不良はない、外見もキレイ、室内のコンディションがこのような状態であっても、ニオイを完全に除去するためにはリフォームの必要性が高くなります。
ニオイの程度によって異なりますが、壁紙(天井も含め全て)はもちろんのこと、扉などの建具やフローリングなどの交換も必要になる可能性が高いので付帯設備にニオイが残っている場合は室内のコンディションにかかわらず大掛かりなリフォームが必要になると考えておかなければいけません。 
(その分相場価格世類も成約価格を低く設定しなければいけません。)

コンディションの良悪とペットのニオイは全くの別問題なので、この点はしっかりと事前に理解しておく必要があるでしょう。

■言葉足らずな壁紙の交換費用
リフォーム工事の中で最も簡易的かつ安価に検討できそうなのが『壁紙の交換』です。
「意外と安くできるかも」と思うような金額表記がされているので、金額のイメージを間違えてしまう方も多いのですが、天井も含めて交換すると想像以上に高額となります。
 
壁紙の料金は以下のような表記をしているネット記事が多くあります。
6帖/40m²まで総額〇〇万円
 
上記の金額だと「うちは54㎡の2LDKだから○○万円くらいで検討出来るんだ」と思ってしまいます。
ですが、この認識は間違いです。
壁紙交換費用の計算方法では建物の専有面積は関係ありません。
表記されている㎡数は壁・天井、収納の扉など、壁紙の張り付けが必要な合計面積の数字なので、天井を含めて全ての壁紙を交換しようとする場合は数十万円単位の費用が必要です。
リフォーム費用は不動産価格にも大きな影響を与える項目なので、肝心な部分の説明が抜けている言葉足らずの表記にダマされないように気をつけ下さい。
 
■キズやニオイ以外にもあるペット飼育の懸念点
賃貸住宅では依然として『ペット不可』の物件が多く、「ペットを飼いたい」という理由でマンション・一戸建ての購入を検討している家庭も多くあります。
その逆に、年齢・性別を問わずアレルギー疾患の患者数は年々増加しており、厚生労働省が発表している『アレルギー疾患推計患者数の年次推移』でも推計患者数が増加していることが一目で分かります。
 
かくいう私もアレルギーを持っている人間の一人なのですが、日常生活を送る上で食べ物はもちろん、犬やネコなどの動物には可能な限り近づかない様にしないといけません。
当然、アレルギーを持っている方の中には物件の良し悪しにかかわらず、検討対象から外さないといけない方もいますので、ペット飼育をしている物件は購入検討者の総数自体が減少します。
より多くの購入検討者がいた方が成約の確率は高くなりますから、住宅購入検討者の総数が減少するということは不動産売却に少なからずの影響が出る可能性があると考えておいた方が良いでしょう。
 
 
■ペットに不動産価値を上昇させる要素はない
最後に、どんなにかわいらしいペットであっても、不動産価値を上昇させることはできません。
買主にとっては大切な家族、ですが住宅購入を検討する第3者からしてみると一般的なペットという認識となりますから、ペット飼育には不動産価値を下落させる要素はあれども不動産価値を上昇させる要素は持っていないのです。
愛らしく癒しを与えてくれる存在でありますが、このような感情は不動産査定や不動産価格に反映されることはありませんので、程度にもよりますがペット飼育をするのであれば『相場よりも売却価格が下がる』という認識を持っておいた方が良いでしょう。、
不動産売却の際にはペットに対する情は可能な限り排除して、客観的な目線で現状を判断できるように心がけて下さい。

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