マンション売却の素朴な疑問 不動産価格にキッチンなどの室内設備の価値は乗せされているのか?

マイホーム売却で気になるのは内のコンディションです。
査定価格にも大きな影響を与える項目なので、気にしている方も多いのではないでしょうか。
ただし、キレイに利用していれば室内の設備の価値が将来に渡って維持されるというわけではないので、この点には注意が必要です。
誤った認識を持ってしまうと数百万円単位で損をしてしまう可能性もありますから、今回は室内設備の価値について確認していきます。
※具体的な金額算出はしません


■新築マンションが中古マンションよりも高い理由
まずは簡単な確認から始めていきましょう。
新築物件と中古物件、最も大きな違いは『物件価格』です。
では、なぜ新築物件と中古物件に大きな価格差が付いてしまうのでしょうか。
 
この問題の答えは単純です。
『建物価値』の差です。
この問題を考えると『新築プレミア』や『減価償却』、『不動産会社の利益』など、小難しい専門用語を出す方が多いのですが、そんな複雑に考える必要はありません。
 
不動産価格は建物価格と土地価格で構成されています。
この2つを考える上で重要な事は、『建物が減価償却資産である』ということです。
土地は減価償却資産に該当しないので所有期間に応じて価値が下がるということは絶対にありません。
これと逆に、建物は減価償却資産なので所有期間や利用頻度に関係なく、1日1日必ず価値が下がっていくので中古物件は新築物件より物件価格が低くなるのです
 
ちなみに、マンション査定は取引事例比較法で査定価格の算出をします。
当然、新築マンションも比較対象に含みますから、新築マンションの価格構成に利益や広告費が含まれていようとまったく関係はありません。

■室内のコンディションが良ければ売却価格は高くなる
建物価格によって新築・中古の金額差が生じているということは、室内設備のコンディションが中古住宅の査定価格に大きな影響を与えるということです。
購入希望者はマイホーム(居住用不動産)、を購入するわけですから不思議なことではありませんね。
 
リフォーム費用はメーカーや時期によって金額が異なりますが、70㎡の部屋をフルリフォームしようとした場合、500万円以上の費用は想定して頂きたいところです。
室内のコンディションが異なる2つの物件を比較してみた場合
 
A:室内のコンディション大変良好
室内をリフォームする必要が無いので相場価格での成約、条件によっては相場価格にプラスアルファ―した価格で成約する可能性も考えられます。
 
B:室内のコンディションが悪い(リフォーム費用必須)
リフォーム工事に500万円以上の費用が予想されるので、成約金額は相場価格よりも数百万円低くなる可能性が限りなく高くなります。
 
購入検討者は物件で新生活を送るわけですから、生活できる状態に仕上げなければいけません。
ということで、購入検討者の資金計算は『物件価格 + リフォーム費用の合計金額』となります。
室内のコンディションが良ければ相場よりも成約価格は高くなる可能性があり、コンディションが悪ければ相場よりも成約価格が低くなる可能性が高くなるというわけです。
 
■マンション売却査定では建物をどうやって査定しているのか
では、不動産会社および購入検討者は『何を見て』室内のコンディションを判断しているのでしょうか?
 
これは不動産査定(特に)の大前提なのですが、不動産査定では建物査定はほとんどされていません。
正確には、『建物査定がされていない』のではなく『建物査定が出来ない』と言った方が適切です。
 
なぜ査定が出来ないのか?
問題となる原因は大きく4つ(個人的)
・建物価格が分からない
・各設備の正確な利用可能残存期間が分からない
・各設備の正確な購入金額が分からない
・目で見える表面部分しか確認することができない

 
不動産鑑定士や建物インスペクションの有資格者であったとしても、この4つの問題を解決することは困難です。
このことから、建物部分については室内設備のコンディションや、故障・不具合、リフォーム履歴の確認など、簡易的な査定となっているのです。
 
ただ、だからと言って適当な不動産査定がされているというわけではありません。
先述した通り、居住用不動産の査定方法は『取引事例比較法』で行われているので、売却対象物件の絶対的な不動産価値よりも、周辺物件と比較した際の相対的な不動産価値の方が重要です。
 
不動産の相対的な価値をベースとして、ベース価格に上乗せ可能な室内のコンディションであれば「数百万円を上乗せ」、コンディションが悪ければ「数百万円を差し引く」といったやり方で、建物価格は多少感覚的な部分が大きくなります。
 
■どんなにキレイな状態でも一定年数が経過していれば価値は・・・
丁寧に利用していれば、築後10年、15年経過していようとも、室内をキレイに維持し続けることができます。
では、キレイに利用していれば経過年数にかかわらず建物価値を上乗せすることができるのでしょうか?
 
この疑問を考える際に忘れてはいけないことは、『世の中にある全ての動産物には寿命がある』ということです。
利用頻度や利用状況によっても異なるので一概には言えませんが、以下が推奨されている各箇所の交換時期になります。
(推奨される交換時期を各箇所の寿命と例えさせてもらいます)
  ユ  ニ  ッ  ト  バ  ス   :10年~15年
  キ  ッ  チ  ン   :10年~15年
  ト  イ  レ  :10年~15年
  洗  面  台  :10年~15年 
  給  湯  機  :15年前後
壁紙・フローリングなど:20年前後

 
建物価値は室内設備のコンディションによって大きく変動するのですが、これと併せて『経過年数』も考慮する必要があります。
 
仮にあなたが築20年の中古マンショの購入を検討しています。
リフォーム履歴はありませんが、室内を丁寧に使用していたので現状の設備のままでも生活することが可能な状況です。
では、先述した各箇所の寿命を考慮して、この中古マンションの室内設備にお金を出すことができるでしょうか?
 
人によって判断は異なりますが、多くの方はどんなにキレイな状態であっても20年を経過している室内設備に価値を見出すことはできないはずです。
外見がキレイであっても各設備の経年劣化は進んでいるのでいつまで利用でいるか分かりません。
「購入後3ヶ月で故障してしまった」とうい状況も容易に想像できますから、建物価値はコンディションと合わせて経過年数も考慮して考えていかなければいけないでしょう。
 
ここからは個人的な感覚による意見になるので、参考程度に。
室内設備の価値を不動産価格に反映しようとする場合、『築後10年』が一つの目安になると考えています。
※リフォーム履歴無しの場合
 
付帯設備の価値を不動産価格に反映させたいのであれば、理想としては築後5年以内で遅くとも築後10年以内、限界は築後15年と考えています。
もちろん、築後15年以上の建物の価値がゼロと言うわけではありませんが、相対的な不動産価値を重要視する不動産査定(特にマンション)においてはコンディションにかかわらず相場価格に上乗せすることが難しくなると考えています。
 
建物価値の見誤ってしまうと成約価格に数百万円の価格差が生じてしまう可能性もあります。
適切な価格で売却するためにも、周辺物件との比較を適切に行い、室内設備の適切な価値を見極められるようにしておきましょう

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査定価格は不動産会社によって何百万円もの差が生じる可能性もあるので、相場確認と査定結果の比較は必須作業です。
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