中古マンション価格は地価や敷地の共有持分と関係性があるのか?

築年数の経過に応じて建物の価値は必ず下落していきます。
一戸建ては“売地”として売却することもできますが、マンションはそうはいきません。
一戸建ては土地の所有権、マンションは敷地の所有権の共有持分を所有しているので、この2つの不動産は似て非なる不動産、同じ考え方で土地の価値を査定してはいけないはずです。
今回は『地価』を利用してマンションの土地の価値を検証いていくので、マンション売却を検討している方は参考にしてみて下さい。


■なぜマンションと一戸建てで土地の価値が変わるのか?
まずは土地の所有権と共有持分の違いについて簡単に確認しましょう。
 
『所有権(一戸建て)』
自身で土地を所有することができる
建物の再建築や土地の活用方法をすべて自分の意思で決めることができる
 
『共有持分(マンション)』
区分所有者全員でマンション全体の敷地を共有する
地基地の共有持分を所有しているので建物再建築、土地の活用は自分の意思だけではできない。
 
一戸建てのように土地の所有権を有していると、自分の意思、都合、考えによってその土地を自由に利用することができます。
マイホームの立替え、投資用賃貸住宅の建築、駐車場への転用などライフスタイルやライフプランの変化に合わせて自分の好きなように土地を活用することができます。
 マンションの場合はこの逆です。
敷地の共有持分は所有していますが自分の土地は所有していません。
自分だけの意思では何も決めることができず、マンション全体の建替えをする場合においても区分所有者の4/5以上の賛成が必要です。
マンションの場合は所有権付きの物件であったとしても土地の有効活用、敷地の持分割合を有効活用することは非常に難しいと言えます。
 
■中古マンションの成約事例で各マンションの土地価格を計算する
ではマンションの成約事例をい利用して、各マンションの土地価格を計算してみましょう。
今回は低層エリア、中高層エリア、2つの用途地域に在するマンションをそれぞれ確認します。
 
『マンション1』
・マンション名:パティオ大山町/3階建て
・住    所:渋谷区大山町
・交    通:小田急線「代々木上原」駅徒歩4分
・ 築   年   月  :昭和56年5月(築39年)
・ 用途 地 域  :第1種低層住居専用地域
・敷      地:603.10㎡(約248坪)
・  総   戸   数 :8戸
・土  地  持  分:1113/10000
・成  約  価  格:7680万円
・公  示  地  価:115万円/㎡(基準地:大山町)
 
『マンション2』
・マンション名:上目黒マンション/8階建て
・住    所:目黒区東山」1丁目
・交    通:東横線「中目黒」駅徒歩9分
・  築   年   月 :昭和43年10月(築52年)
・ 用 途 地 域 :第1種中高層中住居専用地域
・敷       地:853.27㎡
・  総  戸  数  :46戸
・ 土 地 持 分 :10/370
・ 成 約 価 格 :3390万円
・ 公 示 地 価 :93万円/㎡(基準地:東山3丁目)
 
■パティオ大山町の土地価格
こちらのマンションは『エレベーター無し』というデメリットがありますが、「渋谷区大山町」というブランド立地に在していること、駅から徒歩5分圏内という立地条件から市場からは一定の需要を期待できるマンションです。
 
当該マンションの共有持分が1113/10000
敷地面積が603.10㎡、所有者は敷地全体の内、約67.12㎡(約20坪)の土地を所有しているということが言えるので、上記マンションの土地価格は約7700万円ということになります。
実際の成約価格と公示価格に大きな差は生じていないので、上記土地価格は市場価値を反映されています。
 
公示地価との整合性もある程度確認出来るので極端に低い成約価格ではないと思われますが、金額だけ確認するのであれば土地価格のみで売却していることになるので、建物のことを考慮すると「もう少し高い金額で売却出来たのではないか?」と考えることもできるかもしれません。
 
■上目黒マンションの土地価格
こちらのマンションは『築52年』と旧耐震のマンションになりますが、簡易的な耐震補強工事の実施など、建物の管理が行き届いている築年数を感じさせないマンションです。
 
当該マンションの持ち分が10/370
敷地面積が853.27㎡、所有者は敷地全体の内、約23.06㎡(約7坪)の土地を所有しているいうことが言えるので上記マンションの土地価格は約2150万円ということになります。
公示地価のアドレスは異なりますが、「東山1丁目」の成約事例と成約単価は変わらないので、上記マンションの土地価格の整合性は取れていると考えて門田ありません。
 
室内のコンディションが良好な物件ではありますが、土地価格と成約価格の差額が1240万円。
建物の管理状況が良いとはいえ、築後52年なので一般的には建物の価値は無いと言われる築年数ですから、数字上では土地価格以上の金額で成約していることが分かります。
 
■地価とマンションの共有持分、査定価格の関係性は非常に薄い
サンプル数は少ないのですが、今回の計算で地価とマンション価格の関係性は薄いということが分かりました。
地価が中古マンション価格に与える影響は非常に小さく限定的です。
(低層エリア内の低層マンションは除く)
中古マンション、特に戸数の多い物件は地価よりも取引事例の比較に重きを置いて市場価格の形成が行われているため、周辺の販売物件や、近隣家賃相場の確認を慎重に行うことをお勧めします。
 
地価とマンションの最低価格の相関性は非常に低く、気にする必要性はありません。
地価や路線価など不動産価格を示す指標がいくつもありますが、これらの指標を利用して適切マンション査定がるとは考えられません。
マンション売却においては周辺の取引事例を数多く確認することが一番の近道になので、マンション売却の際には周辺相場の確認は忘れずにやっておきましょう。

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査定価格は不動産会社によって何百万円もの差が生じる可能性もあるので、相場確認と査定結果の比較は必須作業です。
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