任意売却とは? 普通のマンション売却と何が違う?競売との違いは?

不動産売却には『任意売却』という売却方法があります
耳にする機会は少なく一般的な不動産売却とは異なりますが、状況によっては任意売却を選択せざるを得ないケースが訪れないとも限りません。
任意売却の知識を持っておくと万が一のさいに動きやすくなりますので、今回は任意売却の内容や競売との違いについて確認していきます。




■任意売却という不動産売却
任意売却を簡単に説明すると、ローンを完済せずにマンション売却・一戸建て売却を完了させる方法です。
 
住宅ローンを利用する場合、ローン金額の大小にかかわらず購入不動産に金融機関の抵当権が設定されます。
抵当権とは金融機関の担保となる権利のことで、住宅ローンの支払いが実行されない場合、抵当権者は抵当権を設定した不動産を差し押さえることができ、所有者の意思に関係なく第3者に売却することができます。
一般的に不動産売却を行うためには不動産に設定されている抵当権を解除しなければならず、解除する唯一の方法が住宅ローンの完済です。
このことから、ローンの残債が残っている状況でマンション売却・一戸建て売却を行う場合にはローンの完済が絶対条件となっているのです。
 
ここでローンの完済資金について考えてみましょう。
何千万円という住宅ローンの完済資金はどうやって準備すればよいでしょうか?
多くの方は、マンション・一戸建ての売却資金を返済資金に充当しているのですが、ここで問題となるのが「いくらで売却できるのか分からない」ということです。
不動産は時期や個別条件によって価格が大きく変動するため、必ずローンの残債金額よりも売却金額が高くなるというわけではありません。
ただし、ローンの残債金額よりも低い売却金額になったとしても自己資金などで不足分を補填できれば問題になりせん。
逆に、不足分を自己資金などの現金で補填できない場合は通常のマンション売却・一戸建て売却を行うことはできないので、任意売却以外の選択肢はがないということになります。
※不動産売却には売却諸経費も必要です。
 
■なぜ任意売却という不動産売却が存在しているのか?
「住宅ローンを完済しなくても抵当権を解除しマイホームを売却することができる」
言葉だけを聞いているとものすごく良い響きですが、任意売却は誰でも選択できるわけではありません。
任意売却は融資元である金融機関の同意が必要で、『相応の事情』がなければ基本的に同意を取り付けることができません。
 
『相応の事情』で分かりやすいのが、住宅ローンの返済です。
住宅ローンは最長35年という長期間のローンなので完済までの間に不測の事態はつきものです。
雇用情勢、経済状況の変化など一個人の力では防ぎようのない状況で所得が減少してしまう世帯もあり、このような状況の世帯に対して「何が何でも住宅ローンは完済して下さい」というのは現実的ではありません。
『住宅ローンの返済意思は持っているが経済状況から住宅ローンの返済ができない』
この様な事情がない限りは金融機関から任意売却の同意を得ることは難しいので安易な気持ちで任意売却でのマンション売却・一戸建て売却は検討しないようにして下さい。
 
■競売と任意売却の違いは?
不動産売却では任意売却と合わせて「競売」という売却方法が比較されます。
競売は任意売却とは全く違う売却方法になるので、混同しないようにしておきましょう。
 
マンション売却における競売は、対象不動産が債権者に差し押さえられた状態で行われる不動産売却のことです。
競売までは以下のような流れになっています。
1. ローン返済の滞納が続き金融機関から催促状が届く
2. 期限の利益が喪失(住宅ローンを分割払いする権利)
3. 保証会社が代わりにローンを返済し債権者が金融機関から保証会社に移る
4. 保証会社が一括返済を求める
5. 一括返済しない場合、不動産を差し押さえ後競売にかけられる

 
競売の主なデメリットは以下の2点。
· 売却価格は相場よりも低くなる可能性が高い
· 所有者の引き渡し日などの条件が考慮されない


競売で不動産を購入する場合、購入検討者は室内の内見ができません。
室内のコンディションなどを確認することができませんので、競売では相場よりも低い価格で取引されることが多くなってしまいます。
また、売却価格や不動産の引き渡し日などの売却条件に所有者の意思は反映されませんので、この2点は競売の大きなデメリットになると言えるのです。
 
競売による不動産売却にメリットは一つとして存在することはないので、住宅ローンの返済に不安を感じたのであれば一日でも早く金融機関に事情を相談し、金融機関と対応方法を協議しておきましょう
 
■任意売却によるマンション売却・一戸建て売却 5つの注意点
ここからは任売却の注意点を確認してきます。
任意売却に伴う諸条件の交渉は不動産仲介会社が行うので、不動産オーナーは通常の売却活動を行うだけです。
ただ、「任意売却を開始すれば一安心」というわけではありませんので、ここからは任意売却の注意点も必ず確認しておいてください。
 
1.  相応の事情があっても任意売却の同意を得られないケースもある
先述している通り、金融機関からの同意を得ることができれば、ローンの残債よりも売却価格が低くなっても第3者に対して不動産を売却することができます。
とはいえ、『経済的な字事情』による任意売却であっても、ケースバイケースによって金融機からの同意が得られない場合もあるので注意が必要です。
購入希望者がいるケースであっても売却することはできません。
 
2.  必ず売却できるわけではない
任意売却による売却方法は一般的な不動産売却と変わらないので、購入希望者を見つける作業が必要です。
『査定→売却依頼→売却活動→売買契約の締結』という基本的な流れに変わりはないので、売却条件(売却価格など)によっては購入希望者を見つけることができない可能性があります。
 
3.  不足分の残債は残る
任意売却によって不動産を売却した場合であっても、不足分の残債は残ります。
仮に、1000万円の残債のうち任意売却にて800万円を返済したとします。
不足している200万円分の支払いは免除されるわけではなく、無理のない範囲内で返済は続いていきます
 
4.  売却諸経費が必要
諸経費金額は通常の不動産売却と同じです。
各種清算金、仲介手数料、登記費用などの合計金額が必要なので忘れずに計算しておきましょう。
 
5.  信用情報に残る
各種ローンやカード作成時に行われる審査は、信用情報をもとに行われます。
任意売却をした場合は信用情報に履歴が残るので、その後の審査になどに影響が出る可能性が高いと言えます。
ただ、任意売却だけでなく自己破産でも同様に履歴が信用情報に残ります。
 
景気や雇用情勢の変化は個人の力ではどうすることもできません。
聞きなじみ薄いですが特殊な不動産売却ではないので、リスク管理の意味も込め任意売却の注意点などは把握しておきましょう。

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