不動産売却の手残り資金は全て譲渡所得に分類されるのか? 課税されない手残りを確認する

不動産売却で譲渡所得が生じた場合、所得税、住民税の納税義務が生じます。
ただし、ここで気を付けなければいけないのが、『譲渡所得以外にも手元にお金が残るケースがある』と言うことです。
所得でなければ納税の必要はありませんから、譲渡所得について正確に把握しておいて下さい。

■不動産売却における譲渡所得とは?
譲渡所得とは、不動産売却によって発生した所得(利益)のことを言います。
これはマイホームに限らず所有している全ての不動産が対象となり、譲渡所得金額を確認するには以下3項目の金額を確認しましょう。
 
・取得費用
・譲渡価格(売却金額)
・譲渡費用

 
全ての金額確認が完了したら、譲渡価格から取得費と譲渡費用を差引き、譲渡所得の計算が完了です。
譲渡所得 = 売却価格−取得費-譲渡費用
 
譲渡所得がプラスになれば所得税・住民税の納税が必要、マイナスになれば譲渡所得は発生していないので納税義務は生じないので基本的には確定申告の必要はありません。
 
■不動産取得費とは?
上記計算式の中に『取得費』とありますが、これは不動産購入代金の事ではないので注意して下さい。
『取得費計算方法』
取得費 = 不動産購入代金 + 購入諸経費 – 減価償却(建物)

 
聞きなれない単語も出てきているので順番に確認していきましょう。
 ・不動産購入代金
 これは売買契約金額(売却時)の事なので細かく確認する必要はありません。
 
・購入諸経費
 マイホームに限らず不動産を取得するには物件代金以外にも購入諸経費が必要です。
 また、中古物件の場合には室内のコンディションに応じてリフォーム工事も必要ですから、これら費用も取得費に加算しなければいけません。 
※取得費にプラスできる購入諸経費など(物件種別などによって異なります)
・購入時の登録免許税
・不動産取得税
・司法書士報酬
・建物取り壊し費用
・仲介手数料
・専有部分内のリフォーム費用
・測量費用
・新築マンションの修繕積立基金  etc

 
購入諸経費で注意して頂きたいのは、諸経費の中には経費計上できない項目があるということです。
火災保険や管理準備金(新築マンション)、引っ越し費用、銀行保証料の一部など、経費計上できない項目もありますので注意して下さい。
 
・減価償却
 建物は減価償却資産なので、新築中古問わず所有期間に応じて減価償却費用を差引かなければいけません。
 建物価格と減価償却費を確認して計算して下さい。
 
これで取得費の計算は完了です。
 
参考:国税庁HP
 
■不動産譲渡費用とは?
譲渡費用とは『不動産を売却するために必要な経費』のことです。
 
譲渡費用具体例
・不動産売却時に支払った仲介手数料
・収入印紙(売買契約貼付用)
・不動産売却のために支払った立退料
・不動売却のために取り壊した建物取り壊し費用  etc

 
そして、譲渡費用も購入諸経費と同様、経費計上出来ない項目があるので全ての金額を経費計上できるわけではありません。
室内のリフォーム費用や修繕費用、残置物の撤去費用はケースバイケースによって経費計上できませんし、引っ越し費用や所有権抹消登記費用も経費とは認めれていません。
細かくに考えていくと混乱してしまうので基本的には上記に記載した4項目が譲渡費用に想定しておくことをお勧めします。
 
参考:国税庁HP
 
■譲渡所得に該当しない手残り資金とは?
譲渡所得の計算方法が確認できたので、次は住宅ローン利用時の注意点を確認していきましょう。
住宅ローンを利用している不動産オーナーの中には、譲渡所得と住宅ローンの残債金額と紐づけて考えている方が多くいます。
ですが、この2つは全く無関係なものなので譲渡所得を計算する際には住宅ローンの残債金額を考慮する必要性は一切ありません。

言葉では分かりづらいので具体的な数字を用いて確認してみます。
 
EX) 会社員Bさんのマンション売却
マンション取得費:4500万円
住宅ローン残高:3360万円
売却価格:3800万円
譲渡費用:140万円
 
上記データからお分かりの通り、マンションの売却価格は購入時よりも安くなっています。
間違いなく安くなってはいるのですが、Bさんの手元には260万円の手残り資金が生じます。
『手残り資金の計算』
3800万円(売却価格) - 3360万円(ローン返済資金)- 140万円(譲渡費用) = 260万円(手残り資金)

 
ですが、この手残り資金は譲渡所得には該当しません。
手元に資金が残ると譲渡所得が発生していると思いがちなのですが、最初に確認した譲渡所得の公式に当てはめて計算すると、Bさんの譲渡所得は-840万円です。
 
『譲渡所得の計算』
3800万円(売却価格) – 4500万円(取得費)– 140万円(譲渡費用) = -840万円

 
ということで、Bさんの手元には260万円の手残り資金が生じてはいるのですが、譲渡所得は発生していないためにBさんに納税義務が生じることはありません。
手残り資金は全て譲渡所得になるわけではありませんので、住宅ローンを利用している方はこの点に注意して譲渡所得の計算をして下さい。



                    ↓↓建物価格の計算方法・減価償却費の計算方法はこちらから↓↓
                               『建物価格の計算方法』

                                『減価償却費の計算方法』

↓↓各エリアの相場情報はこちらから↓↓エリア別中古マンション価格情報

査定価格は不動産会社によって何百万円もの差が生じる可能性もあるので、相場確認と査定結果の比較は必須作業です。
SmoolaのAI査定を利用して後悔のない高値売却を実現させましょう。